貧乏鍛冶と術しのびさんの気まぐれの記


信長の野望オンライン萌黄サーバー本願寺家でぼちぼちやってます。
by KAJIYAnoOSSAN
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三文小説調

右手に薙刀、左手に血のついた虎の皮を持ち
屋敷に戻りて、引き戸を引き、家の中へ入れば
人の気配ありて、さて、誰かと問えば

「楽の字か?」

「うん」

訪ねて来るは陰陽師門屋楽兵衛

「摂津の炭山も飽いたか?」

「おう」

はてさて、この風変わりな男が突然ここを訪ねるのはどうしたことか
越前美濃の国境の村に生まれ、兄である碇兵衛は越前生まれを名乗るが
弟であるこの男は美濃生まれを自称する。まあ
この時代、生まれなど何の意味もなく
生まれてから、何を為したかが、大事であるゆえ些細なことかもしれぬ

兄上が天つ神の恵みを受けるなら、私は地の底より悪鬼羅刹を導かん

そう言って、召喚の道に進んだこの男
また、何か思いついたのであろうな、と思う

「行くことにしたよ」

「ほう」

それ以上は問わぬことにした。どこへ行くか
聞いても答えぬだろうし、行くところは容易に想像できる。

「ならば、持って行け」

先刻の狩りで得た、虎の毛皮を投げつける

「売れば金になろうし、国に納めれば、上の覚えもあるだろう」

「ありがたいことです」

出世にはあまり興味がないため、現在のところ目付のこの男
この先の槍働きのためにも、身分を高めねばどうにもなるまい
一族を束ねる者としては、このくらいくれてやってもよかろう

「で、行ってなにをするつもりだ?」

「そんなものは知りません、ただ、行きたくなっただけ」

正直、この先こやつが行く国は現在楽な状態ではない
同盟国の家老として、今、何も出来ぬがもどかしく
現在中老の職にあるこやつの兄者碇兵衛を使わそうかと思っていたが

「兄者は、あなたの後を継ぐ市の字を見ねばならぬ
国を離れては、やりづらいでしょう」

不思議な勘のある男だ

「まあ、行って来い、だが、行く以上、後悔するような真似はするな」

「決めたことを後悔するような育てられ方をした覚えはありませんよ」





「あなたにね」

そう言うと楽兵衛は立ち上がり、部屋の障子に手を掛けた

「今にして思えば」

「ん?」

「昔、長島で霊石を配っていた頃に、こうなることは決まっていたのかもしれませんね」

楽兵衛はそう言って笑うと、静かに立ち去った。

戦国の世、いかなることがあれど、その旗を変える以上
相当な覚悟があるのであろう、ならば私は何も言わずそれを見守るのみであろう

ぐぉぉ

うるさい鼾が聞こえた、相の字か
そういえばこいつは昔「なんとなく」雑賀を逃げ出して
宇治の合戦でそ知らぬ顔して八咫烏の旗を背負っていたなと思い出す

わしの影に隠れて、こそこそ獣を飼っていたわっぱどもが
いつのまにやら一人前の風情でいやがる

そう思う、わしも年をとったか

なになに、まだ、若い者に任せてはおけぬが

年寄りが動くのはもう少し後でもいいかな、まあ

なまらぬ程度に体を動かすか

そう思い、薙刀を手に取った、一番不憫なのは
摂津に居つく虎なのかも知れぬなあ

誰に知られることもない堺の屋敷を出て
門屋喜兵衛は静かに摂津の山に消えた

by kajiyanoossan | 2006-02-07 21:41 | 信長オンライン
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